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[K月Α日:曇天] [翔太郎さん達の消息が判らなくなってから今日で三日が過ぎた] [どうやら、ドーパントの能力で謎の空間に落とされたようだという事は、] [着いて行かせていたホークフォンの映像からわかったけど、] [何処にいるか、どうやって助けるのかは未だにつかめていない] [こうなったら、今話題の『空を走る電車』とやらに願掛けでも何でもしたいくらいです] [フィリップさんも目を覚まさないし、彼らは今、何処で何をしていのか……] [最近街には真っ白な悪魔が現れるという噂まであるし、これ以上トラブルが起きたらパンクしていまいそう] [さて、今日もフィリップさんの本棚の記憶にアクセスして、ドーパントの事を調べます] ~とあるSide~ 「……聡里さん、相当ヘコんでるわね……」 ドアに隠れて様子を見ている美琴はそう呟く。 実際、この三日間聡里は睡眠食事その他休憩をしていないので、相当やつれていた。 「さとり、ご飯も食べてないんだよ……? とうま、なんとかならない?」 「無理言うなよインデックス。ああなったら何を言っても無駄だと思う」 食事も摂らず検索と探索に没頭する聡里を流石に心配しているインデックスと当麻。 「……ねぇ、ちょっと」 「ん?なんだビリビリ」 「ビリビリ言うな! ねぇ、私達で例のドーパントを探し出さない?」 唐突な美琴の提案に、当麻は驚いて固まっているがインデックスは一も二も無く乗っていた。 「たんぱつ、いや、みことの言うとおりなんだよ!さとりにはご飯をもらった恩があるんだよ!!」 どこまでもご飯がメインなインデックスさんでした。 「(それに、みこととのケンカを止めてくれたいい人なんだよ)」 ……内心は別として。 「……しゃーねーな。でも、危険な事は絶対にしないからな」 そう当麻が締め、三人は事務所を出て行った。 -風都某所- 「おっかしーわねー。私のレーダーに引っかからないなんて」 美琴は磁力や電磁波を利用し擬似的なレーダーのようにし、ドーパントを探していた。 「アイツが居る所は空間でも歪んでんのかって思うくらいレーダーがかき乱されるから判るのに。」 「みこと!早く見つけてさとりを休ませてあげるためにも頑張るんだよ!」 「わかってるっちゅーのに!」 美琴とインデックスがモメているすぐそばで、その『乱れ』が発生した。 「ミツケタ」 「「「っ!?」」」 「コイ!」 その声と共に二人の横の空間に穴が開き、二人はその穴に引きずり込まれた。 「「きゃあああああああ!!」」 「御坂!インデックス!! くっそぉぉぉぉぉぉ!!」 当麻のその叫びは、空しく風都の風に乗り流されていった…… ~とあるSide End~ 僕が検索していると、当麻くんからホークフォンに着信があった。 「聡里さん! 美琴とインデックスが!!」 「え!? 二人がさらわれた!? クソッ、依頼人は守るって言ったのに、僕の落ち度だ……!! 当麻くん、すぐ行くから手がかりをなくさない様にしっかり現場を見張っておいて!」 僕はそう言い、ダブルが置いていったダブルボイルダーに跨り当麻くんに言われた場所へ飛ばしていた。 そして現場に到着すると、当麻くんが相当へこんでいた。 「くっそ、俺が居たのにあいつらをさらわれるなんて……!」 「落ち着いて当麻くん!君が今焦っても、二人は戻ってこないんだぞ!」 「でも、聡里さん!」 「……落ち着けよこのバカ当麻!!」 僕は思わず声を荒らげ叫んだ。当麻くんが驚いているけど知ったことではない。 「僕だって二人をとっとと見つけたいんだよ! でも焦っても被害者達は助けられないからこうして無理にでも落ち着いているんだ! それを何だ!僕がいえたことじゃないが仮にも二人を保護する立場の君がうろたえてどうする! いいか、落ち着け!」 僕に一喝され、当麻くんはようやく落ち着いたようだった。 「……そうですね、すいません聡里さん」 「判ればいいさ。それに、これで唯一で最大の手がかりができた。これだよ」 そういい僕はマンタレイライブラリの画面を見せる。そこには、地図上に青と赤の光点が浮かんでいた。 「じつはきみたちのポケットにこっそりスパイダーショックの発信機を入れさせてもらってたんだ。 これで居場所が判ると思う」 「マジですか!だったら、とっとと助けにいきましょう!」 「うん、勿論!……でも、君は待っていて……と言っても聞かないんだろうね、君は」 と彼に言うと、当麻くんは苦笑しつつうなずいた。 「やっぱりしっかり見ていなかった俺のせいでもありますから。 それに、アイツの攻撃は俺でも消せるみたいですし」 「やれやれ、しょうがない、か。んじゃ、後ろ、乗りなよ」 僕は当麻くんを後ろに乗せ、その電波の発信地点へハードボイルダーを走らせた。 ~美琴Side~ 「う、ん……?」 私が目を覚ました場所は、どこか暗い倉庫だった。 「ここは……そうだ、確か私達……ッ!?」 さらわれたという事を思い出し慌てて周りを見回すと、 周りには自分とインデックス以外に何人も捕まっていた。 その中には、美琴のクローンであるシスターズやラストオーダーたちが捕まっていた。 そして、こっちを見ている一人の男。 「ふふふ、やっぱり黒子ちゃんは良いなぁ。シスターズちゃんもかわいい~。 でも、ラストオーダータンhshs!かわいい~!」 と、いかにも(キモさしかないオタクと言う意味で)キモオタっぽい男が写真を撮りまくってる。 ソイツは美琴が目を覚ましたことに気づくとニタリを笑い、 「美琴ちゃん起きちゃったかー、これじゃいろいろイタズラできないかなー?」 といってきた。相当粘着質な声で。 「何よアンタ!私をさらったドーパントはアンタ!? とっとと開放しなさい!」 と怒鳴った。電撃を放とうかとも考えたが、放電できなかった。 「無駄だよ美琴チャン。君達の能力はその首輪で封じてあるからねwww」 と言われ、慌てて首元を確認すると確かに首輪がついていて、 悪趣味なことにひらがなで『みこと』と書かれた名札までついていた。 あわてて外そうとするけど、カギがかかっていて外すこともできなかった。 「何よこれ!? 外しなさいって言ってんでしょうが!」 「そうやって凄んでる顔もかわいいwww萌え~www」 と、完璧に間違ったオタク感の塊のような男は手をワキワキさせながら美琴ににじりよってきた。 「や、やだ……来ないでよ……」 「ヒヒヒ……さぁて、美琴ちゃんいっただっきまーす♪」 「助けて……助けて、当麻ぁ!!」 私が叫んだ瞬間、轟音と一緒に壁が吹きとんで、目の前から男が消えた。 ……いや、殴り飛ばされた。殴り飛ばしたのは…… 「悪い、御坂。遅くなった」 ~美琴Side End~ 僕と当麻くんが着いたのは、風都の旧工業地帯。その一角にある倉庫から反応があった。 そして、中を覗いた僕と当麻くんは驚いた。中にはとあるシリーズのヒロインたちが居たからだ。 「白井黒子にミサカシリーズ、ラストオーダー、ワーストまで!? どんだけ節操ないんだあの犯人……あ、まさか」 「どうしたんですか、聡里さん?」 僕はある可能性に思い至った。 「最近風都裏ネットで噂の『真っ白な悪魔』って、まさか、『アイツ』か? ……呼び出さないとマズいかな」 「アイツって……?」 「君も一度は会ってるハズだよ……学園都市の第一位」 その台詞に、当麻くんの顔色が悪くなる。そりゃ殺される一歩手前まで行ったからな、この人。 「一方通行(アクセラレータ)……」 「そ。彼はどうやら最近、この街で不良たちのグループを潰してラストオーダー、 あの美琴ちゃんをちっちゃくしたような子を捜してたみたいだよ。 最近裏掲示板で話題になってるから。『幼女を探す白いロリコン』とかなんとか」 「ロリコンすか……でも、それなら確かに呼んだら相当な戦力になりそうな……」 「んじゃ、呼びますか。どうせ風都に居るだろうから……そうだ、若菜姫のコネを使うか!」 実は以前、うちの事務所に若菜姫がストーカーを撃退するよう依頼してきて、そのコネがあったのだ。 「へ、若菜姫?」 「うん。そろそろ彼女のラジオ放送の時間なんだ。だから、彼女のラジオで放送してもらう。 ちょっとまってて」 僕は若菜さんに電話をし、事情を話した。 彼女はフィリップさん達を助けるといったら一も二も無く協力してくれるといい、 スタッフの人も説得してくれるらしく、僕がお願いした文面で読んでもらう事になった。 「後は野となれ山となれ、かな。頼むよ、アクセラレータ……」 ~一方通行Side~ 「チッ、まァだラストオーダーは見つかン無ェか。後どこに居るんだかなァ……あ?」 ラストオーダーが不良をボコって探しているが(当たり前だが)手がかりすら見つからず、 相当イラついているとき、ラジオが聞こえてきた。 『園崎若菜のヒーリングプリンセス、本日のお便りはこちら!打ち止めさんのお便りです!』 「打ち止め(ラストオーダー)か……?」 『私は一方通行さんって人を探しています。彼も私を探してくれているはずです。 一方通行のお兄ちゃん、私は工業地帯のはしっこの倉庫にいます! すぐ来て下さい!お姉ちゃんも一緒です!だそうです。 実はこのお便り、私の知り合いの探偵さんからの依頼なんですよ。 打ち止めちゃん、見つかるといいですね』 これでラストオーダーという事は確定した。だが、探偵?それに姉だと? 「姉はシスターズだろうが……探偵?ンなヤツ知らねェぞ。……だが、行ってみるか……!」 その呟きと共に、アクセラレータの姿はその場から風と共に掻き消えた。 ~一方通行Side End~ 「放送から十分……そろそろ、かな」 僕がそう呟いたとたん、目の前に白い人影が舞い降りてきた。 「テメェか、俺を呼びやがった『探偵』ってェのは。それに、ヒーローサマじゃねぇか。 ホントにここにラストオーダーが居るんだろうなァ、あァ!?」 語気も荒く尋ねてくるアクセラレータに、僕は頷き答える。 「ああ、さっき確認した。それに、シスターズの一人、 多分10032号のシスターズとオリジナルも一緒だよ」 「ああ、成程なァ。道理で俺の能力(チカラ)が使えたわけだ。ンじゃ、殺っちまうか?」 素で物騒なことを言ってくるアクセラ君に、僕は苦笑しつつ返す。 「半殺し程度にしておいてよ?後始末が大変だからさ。 それに、僕もちょっと借りがあるし、残しておいてよね?」 さらりと返す僕に、どうやら当麻くんは怯えたようだった。 (ちなみに後から聞くと、 「あのときの聡里さんのは、シャドームーン並に怖かった……」と言ってた。失敬な) 「んじゃ、戦力も揃ったし、突入しようか。 アクセラレータ君はバッテリーをこれ以上消費しないように後ろに居て。 僕が壁をブチ抜くから当麻くんが犯人を不意打ちしてくれ。王子様役は譲るよ。」 「王子様って……まあいいです。やってください!」 当麻くんにそう言われ、僕はベルトを巻き、 ウェポンスロットにメモリを入れ武器、メモリーシャフトのみを取り出した。 そして、メモリーシャフトにメモリーメモリをセットし、マキシマムドライブ。 「え゛、生身でマキシマムドライブ!?」 たしかに生身でのマキシマムは危険だけれど、この時の僕はそんなこと頭の片隅にもなかった。 「この程度の壁で、僕らを遮れるとでも……天誅!」 叫び僕は壁にシャフトを叩きつけ、壁をブチ抜いた。 そして、粉塵の中を当麻くんが走りぬけ、犯人と思しき人影をブン殴ったのが見えた。 「悪い御坂、遅くなった!」 「本当に遅いわよ、バカ!」 美琴ちゃんは当麻くんに助けられて照れているらしい。 ついでに壁をぶち抜いた衝撃で他の人たちも次々目を覚ました。 「さてテメェ、覚悟いいか……?」 「ラストオーダーを攫うたァいい度胸してンじゃねェか、あ?」 「アンタに天国を味あわせてあげましょう……」 そういい、当麻くんとアクセラレータ、そして僕らはそれぞれ拳と杖、 メモリーシャフトを構え犯人に詰め寄る。 しかし、犯人の体から砂が零れ落ちた。 そして、その砂が形を作り始め、ある怪人になった。そいつは…… 「「ネガタロス!!」」 僕と当麻くんがハモる。そう、その怪人はネガタロス。 電王の世界で「悪の秘密結社(仮)」を作ろうとした悪のイマジンだ。 「正体を知っているやつが居たか。だがコイツとの契約は完了した。俺は過去に行かせてもらうぞ。 ついでの契約料として、コイツは貰って行こう。じゃあな」 ネガタロスはその台詞と共に、 ディメンションメモリを持ったまま男の体を割り開き過去へと飛んでしまった。 「しまった! くっそ、アイツが黒幕だったのか……!メモリも持っていかれた!」 僕は歯噛みして悔しがり、 当麻くんとアクセラレータは安堵していた(アクセラ君は表情には出さなかったけれど)。 「しかし、過去なんてどうやって追いかければいいんだ…… 僕にはデンライナーは使えないし……!?」 僕がそういった瞬間、当麻くんに赤い光の弾が直撃し、 当麻くんの髪型が……あんまり変わらなかったけれど赤いメッシュが入り、瞳が赤くなった。 「ちょ、ちょっとアンタ?どうしたのよ」 「とうまのようすがなんかヘンなんだよ……?」 電撃目録コンビが心配する中、当麻くん(?)はいきなりポーズを取った。 「俺、参上!!」 「「「ええええええええっ!?」」」 イマジンブレイカー、イマジンに憑依される。 なんとも皮肉な事態が発生した瞬間であった。 目次へ
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「成程…大体事情はわかった。買い物をしていたら、いつのまにかこの風都にいた、と」 翔太郎さんが僕にそう聞いてくる。 場所は鳴海探偵事務所。翔太郎さんとフィリップさんが二人で切り盛りしている探偵事務所だ。 「はい。突拍子もないとは思いますが、そうなんです。」 「それにしても、なぜ君は僕たちのことを知っているんだい?それも、ガイアメモリの力についてまで」 「えっとですね、お二人の変身する『仮面ライダーW』、 そしてそのシリーズである『仮面ライダーシリーズ』は僕らの世界では特撮ドラマなんです」 僕のその発言に、翔太郎さんとフィリップさんは驚愕する。 「俺たちの戦いが、テレビドラマぁ!?」 「なるほど、パラレルワールドがあるならばそんな世界があってもおかしくない……面白い。 ムラムラするねぇ」 フィリップさんも翔太郎さんも、本当にテレビ通りなんだ……見てるこっちが面白いよ。 「だったら、君はこれからどんなドーパントが出てくるのかという記憶も持っているのでは? だとすれば、捜査もなにも必要なくなるんだけどね」 「それはできないんです。今の僕は、その記憶を思い出すことができないみたいなので。 ですけど、その局面にあったら思い出せるみたいです」 まったく都合のいい記憶喪失みたいだなぁ。 「そういえば、君の持っているメモリは『メモリー』のメモリだと言っていたね。 一体、どんな能力があるのか教えてくれないかな?」 「もちろんですよ、フィリップさん。僕のメモリ、メモリーメモリは 限定的に地球の本棚の一部へアクセスし、情報を引き出す能力があります」 その説明で、彼はまた驚いたようだった。 「地球の本棚へ?……興味深い。ぜひ君のメモリを調べさせてくれ!大丈夫、絶対に壊さないから!」 その迫力に気おされながら僕が了承すると、 フィリップさんはスキップでもしかねない機嫌のよさで秘密の地下室へ入っていった。 「あ、おいフィリップ!?……ったく、しゃーねーな。 とにかく、お前行くあて無いんだろ?だったら、ここで働いてみる気は無いか?」 とんでもなく良い提案だった。魅力的なんだけど、大丈夫かな? 「え、いいんですか!?でも、ご迷惑なんじゃ……?」 「いいや、迷惑なんかじゃないぜ。むしろ、仮面ライダーメモリーだっけか? の力を貸してくれると俺たちも仕事がやりやすいからな」 「…成程、ギヴ&テイクってことですか。でしたら、こちらも協力は惜しみません。 存分に僕の力、使ってください」 そして、僕は鳴海探偵事務所の助手として、Wの世界で暮らすことになった。 …のはいいんだけど。 「こりゃあぁ!」 スッパァン!! 「痛てっ!」 「あいたッ!」 僕と翔太郎さんの後頭部になにかがいい音をたてて打ち付けられ、僕らは頭を抑える。 「亜樹子ォ!いいかげん人の頭をスリッパでブッ叩くのやめろ!」 「亜樹子さん……初対面の人にも容赦ないんですね」 そう、そこにいたのは鳴海探偵事務所(自称)所長の鳴海亜樹子さんだった。 「だまらっしゃい翔太郎くん!それとその人誰?なんで私の名前知ってるの?」 「初めまして。僕は星雄聡里。今日付けで翔太郎さんの助手になりました。 これからよろしくお願いします、鳴海亜樹子所長。」 「……翔太郎くん、どっからこんな有能な助手拾ってきたの?」 さらりと人を物みたいに言わないでください、亜樹子さん。 「そんなことよりいいかげん突っ込みを手加減しやがれ!」 「何よ、やるかこの~!」 「喧嘩はやめて下さいってば~!」 そんなこんなでどたばたしていると、事務所の入り口のドアが開いた。 「あの……」 そう声を掛けかけて、中で起きているドタバタを観て呆然とする女性。 「亜樹子ぉぉぉぉぉ!」 「いいかげんに……って、お客さん!」 こんな状況でも気づくとは亜樹子さん流石です。 「す、すみません、探偵事務所と間違えました!」 「「「ま、待って待って!」」」 そして、全員そろって唱和する。 「「「探偵事務所です!!」」」 「連続風車破壊事件?」 「はい、そうなんです」 依頼人の女性の名前は、風祭葵(かざまつりあおい)さん。 彼女は風都に無数にある風車を作ったり修理したりしている、 「風祭風工業(かざまつりふうこうぎょう)」の社長の娘さんである。 「最近、町で過剰発電で壊れる風車の数が激増しているんです」 「過剰発電?どういうこと?」 亜樹子さんは良く判っていないらしい。 「はい、説明しますね。元々あの風車は普通の風力発電装置を小型化したもので、 風都に吹き続ける風を利用して発電するものです。 ですが、あまりに強い風、それこそ超大型台風の風などが吹くと、 過剰電圧で配線が焼ききれたり風車そのものが壊れたりするんです。 最近それが一週間に数台のペースで壊れるといった具合で、明らかにおかしいんです」 「ほう、そいつは放っておけねぇな」 あ、翔太郎さんスイッチ入った。 「困っている女性を放っておくのはハードボイルドとは言えないからな。 それに、風都の象徴の風車を壊して回っている奴がいるとしたら、 そいつはこの風都を泣かせている。そんな奴は、この俺が放っておけねぇ。 この依頼、受けさせてもらう」 「ありがとうございます、左さん!」 「良いって事さ。俺たちの専門分野という気もするしな。それじゃ、何かわかったら連絡入れるぜ」 「はい、よろしくお願いします。では、また」 そう一言言い、風祭さんは帰っていった。 「連続風車破壊事件、かぁ……何でそんなことするんでしょう、翔太郎さん」 「わからねぇ。だが、 瞬間的に、かつ局所的にそんな台風も超えるような風を吹かせることは普通はまず不可能だな」 「ということは……ドーパント、ですか」 「そういうことになるな。うっし、まずは風車が破損したところに行ってみるか。資料は持ったな?」 「はい、翔太郎さん!あ、それとフィリップさんに一言声掛けて行きましょう。 たぶんまだメモリーメモリをいじってると思うので」 「そうだな、地下に入るか」 とまぁ、そんなこんなで地下室に入った僕らが目にしたものは、ぶっ倒れているフィリップさんだった。 「フィリップぅぅぅぅぅぅぅ!?」 「フィリップさぁぁぁぁぁん!?」 どうしてこうなった。 そして二人して介抱し、ようやく目を覚ましたフィリップさんは、 「……面白い!ゾクゾクしっぱなしだよ!!」 「「開口一番それかよ!!」」 こんな状態である。 しばらくして落ち着いたフィリップさんから僕らはメモリーメモリのことを教わった。 「聡里くん、君のメモリからアクセスできる本棚は、僕が入れる物とは独立していた。 そして、中の記憶も大半が封印されている状態みたいなんだ」 「え、そうなんですか?」 変身したときに違和感があると思った。そういうことなのか。 「だが本のタイトルくらいはわかった。でも、そのタイトルも意味がわからない単語ばかりなんだ。 これから言う言葉、あるいは名前に心当たりがあったら言ってくれないかな?」 「はい、どんな単語なんですか?」 「ああ。クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド。 それから、響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド、オーズという単語なんだけどね」 「え、それって!」 むしろ心当たりしかないよ、これは。 「なんだ、一体何の記憶なんだ?」 「え~っと、ですね……僕や翔太郎さんとフィリップさん以外の、ライダーの名前です。 それも、結構最近のライダーですね」 「へぇ……興味深いね。だけど、僕もこのメモリのプロテクトは解除できなかったんだ。 だけど、まったく新しいメモリガジェットの設計図データが入っていた。 これから製作してみるよ。」 「本当ですか?なんでガジェットのデータが……?」 まぁ、考えていても始まらないか。って、何か忘れてるような……あー! 「翔太郎さん、依頼のこと!」 「おっといけねぇ、忘れてた!フィリップ、俺たちはこれから依頼された事件の捜査に行って来る。 メモリーメモリはもういいか?」 「ああ、翔太郎。メモリーメモリに僕側からリンクを作ったから、 これからは僕の本棚側からいつでもアクセスできるし、 メモリーメモリから僕の本棚が閲覧できるようになっているはずさ。メモリのほうは聡里くんに返すよ」 「便利なもんだな。じゃ、行くぞ聡里!」 「了解です、翔太郎さん!」 そして、僕たち二人は風都で捜査を開始した。 途中なんか見覚えのある人が魚屋さんで小指を魚の口に突っ込んでいたり、 木の上に自転車ごと引っかかっていた不幸な人を助けたりしつつ。 すべての風車が壊れた場所を見ていくと翔太郎さんが共通点を発見した。 「デートスポット、ですか?」 「ああ、ウォッチャマンやクイーンとエリザベスに聞いて判ったんだが、 風車が壊された場所の近くは有名なデートスポットがあってな、 風車が壊された関係で人を近づけないようにしたらしい」 「と、いうことはもしかして?」 「ああ、他人の恋愛を妬ましく思っている奴だな犯人は。 だが、あと一箇所壊されていない有名なデートスポット、それも特大のがある」 「それってまさか、『風都タワー』、ですか?」 「その通りだ、さすが助手だな。犯人は大体、週末や祝日に事件を起こしている。 ちょうど今日は金曜、風都タワーに張り込むぞ」 「わかりました。フィリップさんに連絡して、犯人がどこから行動を起こすのか検索してもらいましょう!」 と、言うわけで鳴海探偵事務所に戻ってくるとフィリップさんは嬉々として変わった形のノートパソコンと携帯を操作していた。 「フィリップ、検索だ……って、なんだそりゃ?」 「ああ、翔太郎に聡里くん。いいところに来たね。メモリガジェトが完成したよ」 「本当ですか!どこにあるんですか!?」 そう僕が聞くと、フィリップさんはおもむろに二本のギジメモリを取り出した。 そして、ノートパソコンと携帯にそのギジメモリを挿入した。 「紹介するよ。彼らが新しいメモリガジェット、『マンタレイライブラリ』と『ホークフォン』だ!」 [MANTAREY!][HAWK!] ガイアウィスパーが鳴り響くと、パソコンと携帯が変形してマンタと鷹になった。 「おお、コイツが新しいメモリガジェットか!」 「すごい!ありがとうございます!」 「さらに、マンタレイライブラリにはメモリーメモリからのデータ読み込みもできるようにしてある。 一応、キーワードがあれば検索もできるようになっているから、役に立つと思うよ。 どうかな、彼らは?」 さ「……」←感動で言葉すら出てこなくなっている 翔「……」←驚愕で固まっている 1分後 「あ~、フィリップ、検索だ。頼めるか?」 「もちろんさ。……さぁ、検索を始めよう。キーワードは?」 「キーワードは、『風都タワー』、『攻撃』、『隠れ場所』だ」 そのキーワードで、フィリップの検索結果がある程度絞られた。だが絞りきったほどではない。 「駄目だ翔太郎、絞り込みきれない。他にキーワードは?」 「あ、フィリップさん!キーワード追加、『風圧』!」 その一言で、フィリップの検索が一冊の本に絞り込まれた。 「ああ、検索完了だ!ナイスだよ聡里くん! 翔太郎、結果は風都タワーの裏側の廃工場だ。そこで張り込みしていれば、ドーパントが現れるはずだよ」 「ありがとよ、フィリップ。んじゃ、ちょっくら行って来るぜ」 僕と翔太郎さんは、メモリとドライバーを持ってその工場へ向かった。 そして時間は過ぎて翌日の深夜二時ごろ。丸一日張り込んでいたけれど犯人はまだ現れていない。 「翔太郎さ~ん、アンパンと牛乳買って来ましたよ~」 「助かった、これまでは買い込んでから見張りするしかなかったんでな」 「いえ、お安い御用ですよ……!来た!翔太郎さん、これ!」 僕はそう言って翔太郎さんにPCモードのマンタレイライブラリの画面を見せる。 そこにはホークフォンの暗視カメラから転送された映像が映っていて、 工場の入り口から入ってくる一人の冴えない男が写っていた。 「でかした聡里。気づかれないようにアイツに近づくぞ」 「アイ・アイ・サー」 闇にまぎれて動くのって小さいころからなんかワクワクするね。 ~犯人サイド~ 「くっそ、クリスマスなんかなくなっちまえ!デートなんかさせるかよ!」 暴言を吐く彼は冴えない容姿と陰気な性格のせいで、まったく女性に興味を持ってもらえなかった。 そして男は、クリスマスをブチ壊すというその考えに取り憑かれ、 禁断の力、ガイアメモリを手に入れてしまった。 そしてその男はスタートアップスイッチを押し、メモリを起動させる。 [AIR!] 「デートスポットなんて、壊れちまえばいいんだ!!」 そう吐き捨て変身しようとした瞬間、工場内に声が鳴り響いた。 「おおっと。そんなことさせると思うか?」 「思い通りにはさせませんよ!」 「!!」 ~聡里サイド~ ドーパントにセリフを投げつけながら登場する翔太郎さんと僕。 相手は露骨に悪意のこもった表情になり、ガイアメモリを握り締める。 「うるせぇ、人が仕事するしかない日に横でイチャイチャされる方の身にもなれってんだ!邪魔すんな!」 そしてその男は、自分のひじにある生体コネクタにガイアメモリを挿入し、 ドーパントへ変身してしまった。 「うわぁ、ドーピングしちゃったよ」 「しゃあねぇな。フィリップ、聡里!こっちも行くぞ!」[JOKER!] 「もちろんさ、相棒」[CYCLONE!] 「わかってますよ、翔太郎さん!」[MEMORY!] 「「変身!」」 [CYCLONE! JOKER!] 「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」 「変っ身!」 [MEMORY!] 「貴方の記憶、見せてもらいます!」 『翔太郎、あのドーパントは『エア・ドーパント』。空気を操る力を持っていて、 かまいたちを飛ばして攻撃するらしい』 「だったら、このメモリだ!」 そう言い、翔太郎さんは左側、ボディサイドのメモリを変更する。 [TRIGGER!] [CYCLONE! TRIGGER!] 「サイクロントリガー……だったら僕も!」 そう言いつつ、僕はメモリーメモリをベルトから抜き、ウェポンスロットに装填する。 すると左胸の位置にメモリーの装甲と同じ色のトリガーマグナム、メモリーマグナムが現れる。 「行くぜ、空気野朗!」 「空気って言うんじゃねぇ!」 そんなことを言いつつ、ドーパントはかまいたちをWに向かって飛ばす。 だが、Wはやすやすとかわして風の弾丸を敵に撃ち込む。 「てめぇ、いいかげんにしやがれ!」 「僕も忘れてもらっちゃ困りますよ!」 ドーパントに言い返しつつ、僕もメモリーマグナムで敵を射撃する。 「ぐあああああ!?……なーんてな」 「『「何!?」』」 その瞬間、まるで砲撃のようにものすごい風圧がWとメモリーに襲い掛かる! 「『「あぁぁぁぁぁッ!?」』」 その攻撃で、Wとメモリーは工場の壁を突き破り外へ放り出される。 「今の攻撃、なんだってんだ!?」 『あの攻撃は風……もしかして』 「ええ、フィリップさん。おそらく空気を圧縮してから一方向へ一気に開放したんでしょう。 となると、直撃すればけっこうヤバいですよ」 そんな感じで、僕らはドーパントの攻撃を回避しながら話し合っていた。 「……翔太郎さん、フィリップさん。一つ思いついた打開策があるんですけど」 そう言って、僕は翔太郎さんとフィリップさんに作戦を伝える。 「どういうことだ?」 『ああ……なるほどね』 「ってわけで、協力お願いします!行きますよ、ボス!」 「ボスっておい……まあいいか。作戦は良く判らねぇがやるぞ、フィリップ!」 『もちろんだとも、翔太郎』 そして、Wは『ハードボイルダー』、僕はバイクが無いのでハードボイルダーの後ろに立って メモリーマグナムで牽制射撃をする。 「てめぇらチョコマカ逃げ回ってンじゃねェェェェェェェェ!」 ドーパントは風を背中側から噴出しバイクに匹敵する速度で追いすがってくる! まぁ、追って来てくれないと、作戦自体成立しなくなるんだけど…… そして半時間かけて、ドーパントを狙い通りの場所、港まで連れて来た。 「や、やっとたどり着いたぜ……」 『途中、竜巻で上空に打ち上げられたときはどうなるかと思ったよ……』 「で、でも目的地には着きました!後は……!」 「おう!コイツで決めるぜ!」 [JOKER!] [CYCLONE! JOKER!] そしてサイクロンジョーカーに変身したWは、 サイクロンサイドの能力で竜巻を巻き起こしドーパントの攻撃を吸収・無効化する。 「なんだと!?俺の砲撃を取り込んでやがるのか!」 「当たり前だ!お前なんかの風が相棒の疾風(サイクロン)に敵うか!」 『まぁ、当然の結果だね』 そしてWは、その風を纏った右腕でエア・ドーパントを上空へ殴り上げる! 「がはっ!?だが俺はこんな攻撃では……」 「誰がそれだけって言いましたか!」 [MEMORY!] 「メモリーシャフト!いっきまぁす!即興技、ライダーバッティング!」 「ぐぁぁぁぁぁ!?」 僕は打ち上げられたドーパントをメモリーシャフトでバッティングするように打ち、海の中に叩き込んだ。 「くっそ、あいつら!砲撃してや……ッチ!、空気がねぇ!」 そう、僕がWに伝えた作戦とは、『ドーパントを水中へ沈める』というものだった。 メモリーの力を使ってドーパントの能力を検索した結果、 エア・ドーパントの能力が『接触している気体を操る』という物だったから、 『気体に接触しない状況』を作り出せば良いと思い、 この作戦を考えついて翔太郎さんとフィリップさんに教えたんだ。 「翔太郎さん、フィリップさん!仕上げ行きますよ!」 「『ああ!』」 そして二人揃ってメモリを取り出し、マキシマムスロットへ挿入する。 [JOKER! MAXIMUMDRIVE!!] [MEMORY! MAXIMUMDRIVE!!] 「まずは……その場に縫いとめる!」 そう叫び、メモリーシャフトをドーパントへ投げつけ、突き刺してその場に足止めする。 「ガァァァァッ!?動けねぇ!!」 「メモリー!同時に決めるぞ!!」 「了解です、翔太郎さん!」 「『「はぁぁぁぁぁっ……!!」』」 気合を込め、僕ら二人は上に飛び上がる。そして、メモリブレイク! 「『ジョーカーエクストリーム!!』」 「メモリークラッシャー!!」 Wが左右に分離しキックを叩き込み、 僕はドーパントに突き立てたメモリーシャフトを相手に突きこむように上から踏みつける! 「貴方の罪、記憶しました」 「ぐぁぁぁぁぁぁああああああッ!!」 断末魔の叫びと共にエア・ドーパントは爆発し、メモリが排出され砕け散った。 [事件記録] [ドーパントに変身していた男はすぐに警察に引き渡しました。] [お約束の刃野刑事さんの他に、] [どっかで見たような不器用な警察の人が来て犯人を連行していったけど、なんだったんでしょうね?] [それはそれとして。女の人に気づいてもらえない程度の事でドーパントなんて、アブない人でした。] [まぁ、なんでも、いいですけど。] [翔太郎さんは、どうやら風祭さんにいいところを見せたかったみたいですね。] [でも、婚約しているとわかってすごい落ち込んでました。さすがハーフボイルド。] [そして、明らかになったガイアメモリ販売員の特徴。] [赤いシミのあるスカーフの男、だそうです。一体どういう人物なんでしょう。] [それはともかく、これからも、僕は翔太郎さんたちに協力させてもらうことにしましょう。] 「……こんなものでいいかな。ありがと、マンタレイ」 僕は、マンタレイライブラリに事件の記録を入力するのを終えて、 自分で淹れた紅茶(砂糖少な目のミルクティー)を静かに飲む……つもりだったんだけど。 「亜樹子ぉぉぉぉぉぉ!」 「ぶっふぅ!」 思わず吹いちゃった。何事かと思って見に行くと、そこでは。 「俺のプリン返せ~!」 「もう食べちゃったも~ん♪」 「じゃあ弁償しやがれぇぇぇ!」 と、喧嘩している探偵(二十四歳)と女性(二十歳)。誰かは言わずもがなでしょう。 「翔太郎さん、亜樹子さん……」 「え、聡里くん……?」 「ちょ、おい落ち着け!」 ハリセンを構える僕に対し、あっけにとられている亜樹子さんとオドオドしだす翔太郎さん。 「僕は本来、あんまり手は上げないんですけどね……?」 「「ひいっ!?」」 「いい大人が……なにやってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ぎゃあああああ!」「きゃあああああ!」 スッパァァァァァァァァァァァァァン!! その日、これまでで最高のヒット音が鳴海探偵事務所には鳴り響き、 後には探偵と所長の屍(生きてます)が転がっていた。 「いっぺん、天国を味わって来て下さい!」 続く! 目次へ
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[Α月Ω日(快晴)] [最近、風都でなにやら妙な噂が流れています。] [なんでも、池の水がジュースになっていたり、] [噴水から炎が噴き出して(!)きたりと色々な物が『変わって』しまうらしいです。] [なにやら生物も被害にあっているようで、] [公園の池の鯉がピラニアに変わったりしていたそうですが、なぜ?] [まあ、『恐らくドーパントだろう』ってことで例の刃野刑事が持って来て、] [ウチの事務所で捜査することになりました。] [で、聞き込みの成果をみんなで出し合うことになったので、これから会議です。] 『園崎若菜の、ヒーリングプリンセス~!』 若菜姫のラジオと共に、僕らは会議を開始しました。 「じゃあまず俺からだな。俺の聞き込みによると、事件があったのはここ一週間。 場所はバラバラだ」 翔太郎さんによると、場所による共通点は皆無。 ペースは日誌にまとめた二件の他に五件と一日一件のペ-スで発生しているらしい。 「次は私ですね。と美夜子は挙手をして発言権を発動します」 次は美夜子ちゃん。彼女には事件の起きた現場を回ってもらった。 その時クイーンちゃんとエリザベスちゃんに道案内を頼んだんだけど、 なにやら『この子チョーカワイー!』やらなんやら、 黄色い声で騒いでたのはなんだったんだろう? ついでにいろいろ買ってもらったらしいから今度お礼でもしないとなぁ…… っておっと、脱線した。 「私が聞いてきた結果は、あまり芳しくありませんでした。 と美夜子はあまり役に立てずしょんぼりしてみます」 本当にしょんぼりしているっぽい美夜子ちゃん。 彼女が聞いて来たところ、どうやら場所はよく人が集まる場所らしい。 「すみません、お役に立てませんでした。 と美夜子は体操座りでへこんでみます……」 あんまり落ち込んでるもんだから、とりあえず頭をなでてあげてみた。 「にゃっ!? にゃにをしてりゅんでしゅかしゃとりしゃん……!!」 (訳:なっ!?何をしてるんですか聡里さん……!) と、漏電しつつふにゃ~っとなっちゃった。 「あ゛~、もうどうにでもなっちまえ……。で聡里、お前の方は?」 「あ、はい。僕もネットで調べましたけど、それっぽい情報はなかったです。 始まった当日からいろいろ回ってそれっぽい情報拾って、 全部見て回りましたけど収穫はなかったです。すいません」 つまり全員収穫なし、と。 こう情報がなかったらフィリップさんの検索も無理だろうし…… 『えー、では。次のお便りです』 あ、そういえば若菜姫のラジオ全然聞いてなかった。 『最近風都に、[天才整形外科医]が居るそうなんですよー』 ……整形外科医? 『なんでも、その人がUSBメモリみたいな機械を持っていて、 それを機械に入れてびーってやると好きなように整形できるんだそうですよ! 最近の医学ってすごいんですねー』 顔を引きつらせ、 「USBメモリで整形?」 「まさか……」 「で、ですよね亜樹子さん。まさかおおっぴらにガイアメモリ使って商売なんて……」 そうやって無理やり安心しようとした僕らだけど、次の一言で確定した。 『なんでも、[地球の力]を借りてるんだそうですよ~。すごいですね~』 「「「ガイアメモリだぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」 僕、翔太郎さん、亜樹子さんの絶叫が、事務所にこだましました……。 ~数十分後~ 「ここがそのドクターのハウスか!」 「何言ってるんですか聡里さん?と美夜子は聡里さんにツッコミを入れてみます」 ごめん一度言ってみたかったんだこれ。 僕がいま、美夜子ちゃんとラジオで言っていた整形外科医(?)の家に来ています。 そもそも事の起こりはあの会議の直後まで遡り……。 「ええ、美夜子ちゃんが行くって!?」 「はい。と美夜子はみなさんに懇願してみます」 と、美夜子ちゃんがおとりとして行きたい、と言ってきた。 さすがに彼女に行かせるのはどうかと思ってみんなで止めたけど、真剣な眼差し (+漏電している電流)で、僕らは止める手段を失った……。 はい回想終わり。で、回想している間にその医者の部屋の前に到着したようです。 「すみません、ラジオで聞いて調べてきました。あの、依頼したいんですが……」 僕がそう言うと、ドアが細く開き一人の女の人が出てきた。 なかなかの美人だけど、なんだか粘りつくような視線を感じる……。 「なかなかカッコイイじゃない、あなた。それじゃ入りなさいな。 あら、後ろのその子は、彼女さん?」 そう言われ、顔を赤くし僕の後ろに隠れる美夜子ちゃん。 「ええ、まあ。それじゃ、お邪魔しまーす」 僕らは言って、その部屋へ入っていった。 部屋の内装は、ちょっとしたエステサロンのような感じだったけれど それっぽい機械は何も無かった。 そして先ほどの女の人が話しかけてきた。 「それで、あなたたちは何をして欲しいの?そっちの子の方が、私に用があるみたいね」 彼女に言われ、顔を真っ赤にしつつ美夜子ちゃんはぼそぼそとその人に言う。 「そ、その。私、胸が小さいので、この人の為に大きくしたいんです……」 ちなみに台詞は所長の仕込みらしい。 亜樹子所長……デリカシーどこに置き忘れてきたの。 「ふぅん、カワイイお願いじゃないの。じゃあ、早速させていただくわね」 そう言ってその女の人は銃のような形の何かを取り出した。 「それは?」 僕が聞くと、注射のようなものと答え彼女はガイアメモリを取り出した。 「! それは!」 「あら、これ? これが私の『手術』の秘密。 これを使えば、切らずに一瞬で手術が終わるのよ」 そう言い、美夜子ちゃんに迫る女の人を手で制して、僕は一言宣告する。 「なるほど、やっぱりガイアメモリだったか。 そして、風都で最近頻発している『物が別の物に変わる』事件は、 貴女の仕業ですか?」 僕が言うと、その女性は鋭い目でこちらを睨み、言葉を投げつける。 「アンタは何者なワケ!?ガイアメモリ知ってるなんざ、 まともなヤツじゃないだろ!サツか!!」 うわお一転、口調が相当荒くなったな。 「僕は、探偵の助手ですよ。こっちの子は、もう一人の助手。 貴女がガイアメモリを持っていると踏んで、調べに来たんです。 大人しくガイアメモリを手放して下さい。それは人体に有害な物なんです!」 「嫌だね!コイツはアタシがやっと手に入れた『手術の技術』なんだ! そう簡単に手放せるもんかい!」 僕が説得しようとするも、完璧に拒否。そして、メモリを起動されてしまう。 [Convert!] 「『変換』のメモリか……! 仕方ない、美夜子ちゃん、離れてて!」 美夜子ちゃんを逃がしつつ、僕はドライバーを装着しメモリをセットする。 [Memory!] 「な、お前は!?」 「僕は、探偵の助手。そして!」 [Memory!] 「仮面ライダーです!変ッ身!!」 僕は叫び、ロストドライバーを展開。変身した。 そしてそのまま、チェンジドーパント(以下Cドーパント)を窓から叩き出し、 外の広場へ飛び出した。 僕はメモリーマグナムを使って、遠距離から攻撃する。 相手も何かビームを撃って攻撃してくるけれど、 どれもギリギリかわす事に成功していた。 「くっそちょこまかと!いい加減当たりなさいな!!」 「そう言われて当たる相手は居ないでしょうにッ!」 そんなことを言い合いつつお互いに高速で動きつつ、射撃しあう。 しかし、そこで乱入者が。 「聡里さん!と美夜子は支援に電撃を放ちます!!」 美夜子ちゃんが僕の後ろか電撃を放ったのだ。 良く考えてみれば、 美夜子ちゃんもドーパントとは初交戦だから電撃が通じるかと思ったんだろう。 しかし、彼女の電撃はドーパントにまるで効かず、 ドーパントの意識を彼女に向けただけだった。 「なんなんだいアンタ、生身で電撃なんてさ!アンタも喰らってみるかい!」 そういい、美夜子ちゃんに向けビームを放ったんだ! 「しまった!間に合えッ!!」 僕は叫び、美夜子ちゃんをかばい、抱え込んだ。 そして僕達にビームが直撃し、一瞬視界が真っ白になった。 「あっはっは、コイツで少々『その体』を楽しんでな!じゃあな!!」 その声だけを残し、Cドーパントはどこかへ消えていた。 「聡里さん、大丈夫ですか?と美夜子は聡里さんに呼びかけてみます」 「うん、大丈夫だよ美夜子ちゃん……ってあれ?」 僕の声って、こんなに高かったっけ? 疑問を感じつつ、変身を解除すると、美夜子ちゃんがあっけにとられていた。 ……ん?なんか美夜子ちゃんに違和感があるような……? 「聡里さん、その体は……?」 「え、どういう事……ええっ!?」 美夜子ちゃんに言われ自分の体を確認し、僕はビックリした。 だって、自分の胸に、その、二つのふくらみが…… 「ちょっ、どうしてこうなったの!?」 僕は大絶叫して、そしてようやく美夜子ちゃんの違和感に気づいた。 「美夜子ちゃん、頭、頭にあのそのあれが!!」 僕に言われ頭を触り、ビクッっと体を硬直させる美夜子ちゃん。 「美夜子の体が、なぜ?と美夜子は自身の体に疑問を抱きます」 そう、彼女にいたっては頭に『ねこみみ』が付いていたのだった……。 続く! 目次へ
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[記録(○月×日)] [今日も今日とて、依頼は少ないです] [亜樹子所長が依頼をとってきてくれているのでギリギリ光熱費は払えていますけど、] [食事はやはり天道屋のおでんが生命線です] [今日は、天道さんが妹さんの誕生祝いをするそうなので天道屋は休みです] [僕はひさしぶりにゆっくりできるので、 ネットで元の世界と違う部分を調べることにしました] [基本的に僕の世界も変わらないので、何処が違うのかはっきりさせておかないと] 「へぇ、こっちでもニ○○コ動画のアカウント使えるんだ。 それに、知ってるアニメは軒並みあるし」 僕は、久しぶりにニ○○コ動画でとあるシリーズやらなんやらの動画を見ていた。 「やっぱり、どの検索エンジン使っても仮面ライダー系は特撮ではヒットしないなぁ…… やっぱり、仮面ライダーが実在する世界なんだなぁ」 そうしみじみとつぶやいいて、ふたたびネットに没頭した。 翌日。 事務所で目を覚まして、顔を洗ってからテレビをつけた僕はあっけにとられた。 そこに、とんでもないものが映っていたからだ。 それは、ツンツンした髪型の学生が短髪の女の子が出した雷撃を右手で弾き飛ばし、 銀髪のシスターがその二人を追いかける光景。彼らは…… 「上条当麻に、御坂美琴……!?」 そう、無能力(レベル0)にして『幻想殺し(イマジンブレイカー)』、上条当麻と、 イギリス清教の作り上げた『禁書目録』であるシスターのインデックス。 そして学園都市のNo.3にして超能力者(レベル5)の 『超電磁砲(レールガン)』こと、御坂美琴だった。 ~上琴Side~ 「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 叫びつつ風都の街を駆け抜ける当麻。それと、 「いい加減に私のお仕置きを食らいなさいってばぁぁぁ!」 当麻を雷撃で攻撃しつつ追いかける美琴である。 事の発端は一時間ほど前に遡る。 「いいかげん真剣に勝負しなさいって言ってんでしょうがッ!」 「そんなことをしたら上条さんは死んでしまうのですがね!?」 そんな会話をしつつ追いかけっこをしていた当麻と美琴の足元に、 いきなり真っ黒な『穴』が出現。 そのまま二人はそこへ落ちていった。 さらに、とあるの世界の各所でも『穴』が出現し何人かの人間が飲み込まれていた。 その中にはインデックスや学園都市最強の能力者、無能力者の少年も混ざっていた。 で、時間は少し進む。 「ん……っつ!ここ、どこだ……?」 つぶやきつつ下に手を突き、立ち上がろうとする当麻の手に、 なにやら少し柔らかい感触が。 「ん?なんだこれ」ふにふに 「んっ……あんっ」 触っていたのは美琴の……ひかえめな胸だった。 当麻も美琴が漏らす甘い声で気づき、悪い事に美琴もその刺激で意識を取り戻してしまい、 風都での追いかけっこに至る訳である。 ~聡里Side~ 「なんであの二人が現実にいる訳?いやそもそも、 とあるはこっちの世界でもアニメだったよね!?」 パニックを起こしつつ、とりあえず二人が映った場所へダッシュする僕。 「あー僕もバイク欲しいなぁもう!」 とそんなことを思いつつ走っていると、すぐその場所へついた。 そこは採石場で、すでに美琴の電撃で周りの人は逃げていた。 「あ~ん~た~はぁ~……どーして毎度毎度セクハラまがいの状況にするのかしら?」 「みみみ、御坂サン?漏電しつつこちらに殺意を向けている事は 自覚していらっしゃいますでしょうか!? 体の回りを砂鉄が渦巻いてそれはもう近づくだけで粉みじんにされそうなのですが!」 「や、やめるんだよ短髪!とうまが死んだらこれからご飯はどうすればいいんだよ!?」 そんな会話をしつつ今にも攻撃しそうな美琴ちゃんと うろたえている当麻くん&インデックスの間に入って仲裁する。 「まぁまぁまぁ……そんなにビリビリしてないで落ち着いたらどう? 『電気使い(エレクトロマスター)』。 それから、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の君と、 禁書目録(インデックス)ちゃんも」 僕がそう言うと、三人はやっぱり驚いたようだった。 「え、あなたは誰なんでせうか?俺達のことを知っていらっしゃる!?」 「ああ、知ってるといえば知ってるし知らないといえば知らないし……って危なッ!?」 当麻君と話している横合いから、美琴ちゃんの雷撃の槍が飛んできた。 「あんたたち……?今はそんなことより状況を説明してもらえるかしら……?」 とまぁ、そんな状況で三人を事務所へ連れてくる事になった。 ……もっとも、美琴ちゃんは放電しつつ、 インデックスは歯を見せて警戒しているから僕と当麻くんは戦々恐々だけど。 と、いうわけで所変わって鳴海探偵事務所。 翔太郎さんとフィリップさん、亜樹子さんに三人の事を報告しているところになる。 「なるほど。この三人はアニメの登場人物で、 どうしてかは判らないが気づいたらこの風都に居た、と」 「まあそういう事になりますかねぇ」 フィリップさんは僕の解説を聞いて、内容を要約して説明してくれた。 その説明を聞いた三人は信じられかったらしいけれど、 僕がアニメを見せると信用したらしい。 「どどどどどうやったらここから帰れるんでせうか!? 上条さんはとっとと帰らないと出席日数がヤバいのですよ!」 「そもそもこの状況で出席日数を気にする余裕があるアンタに私は感心するわね」 「とうまは相変わらずなんだよ……」 「当麻くん……ドンマイだ」 そういって彼の肩に手を置くと、彼は男泣きをし始めた……不憫な。 「でも、こんな現象が起きるってことは……やっぱり?」 「ああ、ドーパントだろうな」 「僕もそう思うよ、聡里くん」 僕の疑問に翔太郎さんが答え、フィリップさんも肯定している。 「「ドーパント!?」」 知らないけど知っている単語に驚く当麻くんと美琴ちゃん。 ちなみにインデックスは亜樹子所長と、 ちゃっかりついてきたスフィンクスと一緒にお菓子の争奪戦で夢中である。 「Wを知っていたら知っていると思うけど、ドーパントについて僕から説明するよ。 ドーパントというのは、地球の記憶を封入した特殊な装置『ガイアメモリ』を使って その記憶を使用(ドーピング)して、怪人になったものの事を言うんだ。 大体は人間が変身するんだけどごく稀に、 動物なんかが変身することもあるみたいだね」 「はー、テレビで見てはいたけどすごいモンなんですね。」 「そこまで知っているなら、副作用についても知っているんだろうね」 当麻くんにフィリップさんが話しかける。 「たしかにガイアメモリは使用者に絶大な力を与える。 だがしかし、副作用があるんだ。 ガイアメモリの使用者はメモリの力に呑まれて行き、 闘争本能が暴走したり力を制御できなくなったりする。 そもそも、人体への負荷も相当大きいんだ。 それを壊すには、同じガイアメモリの力がもっとも有効だ」 「そして、それを壊して風都を守るのが俺たち『仮面ライダー』って訳だ」 フィリップさんのセリフに翔太郎さんが受け、自分たちの正体を明かした。 そして二人が『仮面ライダー』と聞いた当麻くんと美琴ちゃんは かなり驚いた様子だった。 「お二人が『仮面ライダー』!?」 「それって、キバやクウガみたいな!?すごいじゃない!」 「御坂、そこは一号二号だろ?」 「何よいいじゃない、平成ライダー!」 「そうだよとうま、モモタロスたちは面白いんだよ!」 あ~、どうやらとあるの世界でも仮面ライダーシリーズは放送されてたみたいだ…… なるほど、美琴ちゃんが平成派で当麻くんが昭和派か。 そしてインデックスちゃんは電王派かな。 「おーい二人とも、そろそろ話進めてもいい?」 僕が一声かけてようやく二人のライダー談義も終わり、本題に入ることになった。 「それでフィリップさん、検索の結果はどうでしたか?」 僕の問いに、フィリップさんは 「ああ。検索を完了した。犯人はおそらく『ディメンション・ドーパント』だね」 「ディメンション……『次元』の記憶だな、フィリップ」 「そういうことさ、翔太郎。目的は判らないが、おそらく犯人は次元を超えて 『現実に学園都市がある世界』から当麻くんたちを呼び出したんだろう。 パラレルワールドの存在については、聡里くんが証明してくれているしね」 「「え?」」 フィリップさんの台詞にまた驚いて僕のほうを見てくる上琴コンビ。 そこで僕は彼ら二人に僕の今までのいきさつをかいつまんで説明した。 「つまり聡里さんも、別の世界からこの『仮面ライダーの世界』に来た、 と言うわけなんですか」 「そういうことになるね、上条くん。 まぁ、僕の場合元々君ほど強くないんだけどね、あはは……」 苦笑いした僕に、フィリップさんがさらりと言い放つ。 「何を言ってるんだい?君も今や仮面ライダーじゃないか」 「「「えええええ~~~!!!」」」 苦笑いしたまま、驚く三人組に僕はロストドライバーを見せる。 「君たちは事件の当事者だからいいか。そうだよ。僕も仮面ライダー。 仮面ライダーメモリーさ。原作にはいない、この世界オリジナルだけどね」 「お、男のロマンではないですか、仮面ライダーとは!!」 「ろ、ロストドライバー!? しかも何かオプションみたいなものがついてるし、どういう機能があるの!?」 「ああ、これ・これは……ん!?」 食いついてきた当麻くんと美琴ちゃんに ロストドライバー改について説明しようとすると、窓ガラスを叩く音が聞こえた。 「あれは……ホークフォン! ってことは、翔太郎さん!」 「ああ、ドーパントだな!見つけてきたのか!っしゃ! 俺は先に行ってるぜ、聡里!」 翔太郎さんはそういい残し飛び出し、僕も三人へ軽く状況説明をする。 「上条くん、御坂さん、インデックスちゃん。 今君たちをこの世界に連れてきた張本人が現れたらしい。これから僕も行ってくるよ」 「俺も行きます! 俺たちの事は俺たちで解決しないと気が済みません!」 「私だってそうです! それに、私はレベル5ですから、役に立って見せます!」 「私もなんだよ! 私だって、これでも魔道図書館と呼ばれているんだから!」 そういう三人を、僕は一言で切り捨てる。 「ダメだ」 「なんで!?私の能力だって……」 「いい加減にしろ御坂さん!!」 僕の一喝に、怯む御坂さん。 「いいか、君たちは異能の力を持っていたりしても、まだ子供なんだ! 危険に向かっていくのは本業に任せてくれ!」 「でも!」 「それに、それだけ詳しかったら翔太郎さんのポリシーは知っているだろう、 君たち?」 その言葉で、当麻くんは気づいたようだった。 「『探偵は、依頼人を危険な目には遭わせない』……。そういうこと、ですか?」 当麻くんの言葉に、美琴ちゃんもインデックスちゃんも黙り込んだ。 「そう、これは我が鳴海探偵事務所の鉄則でもあるんだ。 だから、ここで待っていて。必ず君たちを元の居場所へ戻すから」 「……んじゃ、俺からもう一つ、依頼していいですか?」 当麻くんが、真剣な面持ちでこちらに話しかけてきた。 「絶対に大怪我しないこと。いいですよね? 『聡里さん』」 その言葉に、僕は一瞬言葉を失う。そして、 「ああ。任せておいてよ、上条君……いや、『当麻』! よしっ、案内して、マンタレイ!」 そう言い、僕はマンタレイライブラリに案内してもらいつつ風都の街を駆け出した。 ~W Side~ そのころ翔太郎は、ドーパントの居場所へ辿り着いていた。 「テメェが『ディメンション・ドーパント』か。 大人しく上条達を元の世界へ戻しやがれ!」 翔太郎が呼びかけるが、ドーパントはまったくいう事を聞くそぶりを見せなかった。 それどころか、おかしな態度を取っているのだ。 「俺の契約のジャマをするなぁ……!」 そういい、体から砂をこぼし襲い掛かってくるディメンションドーパント。 (以下Dドーパント) 『契約……? 翔太郎! コイツは誰かに雇われているのかもしれない!』 「わっかんねぇよ! だが、コイツは結構手強いぜ!」 その言葉通り、そのドーパントは空間を歪めつつ、 W・サイクロントリガーの銃撃をはじいているのだ。 「チッ、射撃が効かないぞ、どーすんだコイツ!」 『翔太郎、射撃が駄目なら?』 「肉弾戦、ってか!」 [Heat!] [Metal!] そして、接近戦で最も有効な組み合わせ、 ヒートメタルにメモリチェンジしたWはメタルシャフトで袈裟切りのように殴りかかる! しかし、当てたと思った場所にDドーパントは居なかった。 「なっ、どこ行きやがった!?」 『翔太郎、下だ!』 「んなっ!?」 フィリップが言うと同時に、足元に時空の歪みが生じてWはその空間に落ちていった……。 続く。 目次へ
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ドーパントにメモリを奪われ数日が経ち、 今日も鳴海探偵事務所に僕らに加え天道さんが集まりドーパント対策を考えていた。 「また謎の破壊活動があったって、風都日報ウェブのトップラインにありますよ。 この数日で五件目です。今回は高利貸しの会社のビルが破壊されたとか」 「そうか。ありがとな、聡里。犯人はまたあのドーパントだろうな……。 フィリップ、あのドーパントの正体は掴めたか?」 「ああ、翔太郎。あのドーパントは「ベロシティドーパント」。 速度を操る能力を持ったドーパントさ」 「成程な。だからあの高速移動が出来た訳か。 それじゃ、あの『クロックアップ』に対抗する方法は判ったか?」 「そっちは全然だね。僕らの能力で、ルナとトリガーを除いてあのドーパントに対抗する方法は無い」 Wのメモリが奪われたため、その能力には頼れなさそう。 「僕の方も、なかなか考え付きません。天道さん、なにか思いつきませんか?」 「俺も思いつかないな。だが、まずは盗られたガイアメモリとやらを取り戻すのがいいんじゃないか?」 「ああ、そうですね!……そうだ、フィリップさん!このサイト見てください!」 僕はそう言い、マンタレイライブラリでとあるサイトに接続し、皆に見せる。 「このサイトは……?」 「『復讐代理人』だぁ?なんだよこのサイト」 「翔太郎さん、 このサイトは『風都』『復讐』『代行』のキーワードで検索してヒットしたサイトの一つです。 それと、このページの復讐対象リスト、どこかで見覚えありませんか?」 フィリップさんはしばらく考え込んだ後、ハッとした表情で翔太郎さんの方を見た。 「……そうか!翔太郎、刃野刑事から受け取った、例の事件の傷害事件の被害者リストだ!」 「ええ。それにこの一番下。この会社名、さっき言った記事の高利貸しの名前なんですよ!」 「決まり、だな。このサイトを運営している人間を突き止められないか?」 翔太郎さんが僕にそう聞いてくる。 「僕には流石にそこまでは。でも、一つだけ思いついた策があるんですが、これはちょっと……」 「だったら言ってみてくれたまえ。それがいい刺激になるかもしれない」 「……判りました。このサイトに、依頼を書き込むんです。僕らがターゲットになるように。 それで相手が襲ってきたところを……」 「捕まえる、って訳か。だが、それだと被害がでかくなる可能性があるな」 「はい、だからターゲットには、僕がなります」 「聡里!?お前何言ってるのかわかってるのか!?」 翔太郎さんが大声で怒鳴ってくる。 「判ってます。ですが、翔太郎さんたちにはメモリを回収してもらう必要がありますし、 亜樹子さんや天道さんに危害を加えさせるわけには行きません。 それに、あちらも僕に対しては恨みがあるでしょうから」 「だからって言って、お前が危険だって言ってるんだ!」 「でも、他に方法は……!」 その時、僕らが喧嘩をしている横で黙ってみていた天道さんが、動いた。 「お前たち、少し落ち着け」 「「天道(さん)……」 「おばあちゃんが言っていた。 『未熟な果物は酸っぱい。未熟者ほど喧嘩をする』ってな」 「なんだと!?」 「翔太郎さん落ち着いて!」 天道さん火に油を注がないでください! 「だがおばあちゃんはこうも言っていた。 『未熟なものでも味がある。その味を生かすのが料理人の腕の見せ所だ』と。 たしかにこの策は危険も伴う。だが、それしか手が無いのなら認めても良いんじゃ無いのか、左?」 「……」 さすが天道さんの『天道語録』は、重みが違う…… 「……そう、だな。だが、無茶はするな。危なくなったらすぐ逃げろよ」 「判ってますよ、翔太郎さん。 ……あ、ドライバーとメモリはここに置いていきます。 さすがにこれが奪われるといろいろマズいので」 「聡里くん、さすがにそれは、それこそ君が大怪我してしまうかもしれないよ?」 フィリップさんが言ってくるけれど、僕は首を横に振り、否定する。 「僕なら大丈夫です」 「ああ、聡里は大丈夫だ。いざとなれば、俺が行こう」 天道さんのフォローが入り、作戦は決定した。 作戦を始め、三日が経った。僕は、とある工場で野宿をしている。 件のサイトに書き込んだ僕の罪状は『不法侵入』。 勝手に廃墟に入り込んで住み着いた男で邪魔で仕方ない、という内容で書いてもらった。 そして、夕食のご飯(飯ごうで炊いた)と固ゆで卵 (人間が踏んでも割れないレベルのが一個あったんだけど、これどうやって作ったんだろう……?) を食べていると、いきなり声が響き渡った。 「星雄聡里だな?」 「この声は!?」 そう、件のベロシティドーパントの登場。 「ほう、お前はこの間のヒーローもどきの小僧か。 お前も他人から恨みを買っているようじゃないか」 「そういう貴方も、けっこう恨みを買っていますよ?」 僕がそう返すと、ドーパントは不敵に笑ってこう言い放つ。 「私は正義を成しているからな。罪人から恨まれるのも当然だろう。 さて、星雄聡里。お前を、『不法侵入』の罪で裁く!」 「くっ、今の僕は変身できないのに……ッ!」 と、僕にできる精一杯の演技で焦ったふりをしてみせる。 ちなみに、この状況とはホークフォンで撮影していて、 犯人が立ち去るときに尾行するように命令してある。 そしてドーパントが殴りかかって来て、僕はなすすべもなく倒されることになった。 攻撃はどうにか見えたけれど、ギリギリで対応するのが精精だった。 「復讐完了、か。他愛も無い」 血まみれで横たわり、動かない僕に言い放ち立ち去ろうとするドーパントに、 翔太郎さんから借りた予備のスパイダーショックの発信機をつける。 これで二重に追跡できることになるか。 そしてドーパントが立ち去ると、物陰から天道さんが現れた。 「大丈夫か、聡里」 「……ええ、天道さん。勿論ですよ」 「ならいい。事務所へ戻るぞ」 「わかりました。でも、ちょっと疲れたので、寝ても、いいですか?」 そう言って、僕は意識を手放した。 ~鳴海探偵事務所~ 「う、ぁ……眩しい……」 僕がそう言い目を覚ますと、そこは探偵事務所のソファの上。 横では亜樹子さんが僕の様子を見ていた。 「あ、亜樹子さん」 「聡里くん!目が覚めたんだ!よかったぁ…… 翔太郎くんフィリップくん!聡里くん起きたよ!」 亜樹子さんはそう叫びながら秘密ガレージへ突撃していった。 「っ、ちょっと無茶しすぎたかな?まぁこのくらいならどうにかなるか」 そう呟いたとき、翔太郎さんに思いっきりどやされた。 「聡里!俺は無茶をするなって言っておいたはずだよな!? なのにどうしてこんな血まみれになってるんだ!」 あー、そういや具体的にどうやってドーパント騙すか説明してなかったっけか。 「落ち着いて下さい。これは血糊ですよ」 「血糊!?」 「ええ。じつは、こんな物を用意していたんです」 僕は全員にビニール袋を見せる。 その袋は熱で口を接着してあり、中には血が入っていた。 「へぇ、これは面白い。どうやって作ったんだい?」 フィリップさんに聞かれ、答える。 「簡単ですよ。実は数日前から少しずつ自分の血を抜いてたんです。 で、それを水でうすめて固まりにくくしたんですよ。 後はそれをビニール袋に入れて、端をアイロンで溶かしてくっつけて作りました」 「なるほどな。だが、どうやってそれをあんだけ盛大にぶちまけたんだ?」 「それも簡単で、口に含んでビニールを噛み切った後、 殴られて吹き飛んだ瞬間にそれを自分にかけただけです。 その後騙すのは苦労しましたけどね」 その説明に、探偵事務所の面々は心底驚いたようだった。 「……ってことは翔太郎くんフィリップくん、犯人の居場所、判ったの!?」 「勿論だ、亜樹子。発信機とホークフォンからバッチリ位置が送られて来てる。あとは乗り込むくらいだ」 「僕としても問題は無い。だが、あのドーパントの相手はできるのかい、聡里くん?」 フィリップさんに聞かれた僕は、「はい」と返事をし、首をたてに振った。 しかし、天道さんが僕の方をじっと見ていて、何かをあきらめたような顔をしていた。 「んじゃ、聡里も無事だったんなら明日にもメモリを奪還しにいくぞ!」 「「おー!」」 亜樹子さんと僕の掛け声がハモり、その日はお開きになった。 ~そして、翌日~ 翔太郎さんと僕は例の犯人の家と思われる家の前に到着した。 「ここ、ですか?流石にこれは……」 「いや、でも反応はここから出てるぜ?ホークフォンもここを示してるしな」 ホークフォンが示し、スパイダーショックの反応があるその場所は、なんと警察署だった。 「まさか警察関係者だったとはな……だがこれで合点が言ったぜ。 道理であんだけ新聞に載るような事件ばかり起こして捕まらない訳だ。 事件を起こした直後に変身を解除して様子を見に来た警官の振りをして紛れ込めば誰も怪しまねぇ」 「そういうことですか……でも、こっちも警察にはコネがありましたよね?」 「ああ、そういうことだ。刃野刑事たちに話は通してある。 後はお前が犯人を見つけて、俺が注意を引き付けている間にメモリを取り返せば完了だ。 行くぜ、聡里」 「ええ、翔太郎さん」 「こんちわ、ジンさん。連絡通り来ました」 翔太郎さんは、刃野刑事に挨拶し受け付けの人に教えられた部屋の中へ入っていった。 「おう、翔太郎。それとそこのボウズが例の助手くんか。氷川から聞いたぞ」 「鳴海探偵事務所・探偵補佐の星雄です。以後お見知りおきを」 「なかなか決まってるじゃないか。さて、用事ってのは何だ?」 そう切り出されたところで、翔太郎さんは事情を伝えた。 もっともライダーの所は隠して、例の怪人の正体が警察の人間らしいこと、それと 自分たちにとって重要なデータが入ったUSBメモリが盗難された、と伝えた。 僕らの話を最初は半信半疑で聞いていた刃野刑事だったけれど、 どうにか説得できたようで所内を見て回ることになった。 同じ部屋の中でどうやら刃野さんの部下らしい刑事さんが露骨に不快そうな顔をしていたけど、 スルーすることにした。触らぬ神に祟り無し! その後、案内される途中に前の事件でお世話になった不器用な警官さんに会ってお互い挨拶がかぶったり、 すごい気が強い女の人がその横でなんか地味な人に止められていたりと、 ややこしい状況になっていたけれど一通り所内を見て回った。 そして最後の「拾得物管理室」に来たとき、僕らは目当ての男を見つけた。 「翔太郎さん!この男です!!」 そこにいたのは紛れも無く、件のベロシティドーパントの変身者だった! 「なっ、お前、どうして!?」 「悪りぃな、以前コイツを襲撃したときに付けさせてもらったぜ」 翔太郎さんがそういい男の足元を指差し、 男が確認すると足、靴の側面に蜘蛛の巣をかたどったデザインの発信機が張り付いていた。 「い、いつの間に!」 「僕が倒れた後に、ちょろっと。血糊まで用意して正解だったみたいですね、偽善者さん」 僕のその言葉が、どうやら逆鱗に触れたようだった。 「偽善者、だと?俺が何のために警察に入ったと思ってるんだよ! 俺は悪人を取り締まるために警察官になったんだ!なのに毎日毎日こんな狭い部屋の中でカンヅメで 仕事といえば拾得物を整頓してケースの中に入れる、それだけだ! だから俺は、犯罪者共を取りしまるためにこの『力』を手に入れたんだ!邪魔をするなァ!!」 そう叫ぶと、男はガイアメモリを懐から取り出しスタートアップスイッチを押し込んだ! [VELOCITY!] 「探偵風情が……お前らまとめて、正義への反逆の罪で裁く!」 男の足首に生体コネクタが現れ、男はそこにメモリを挿入してしまう。 [VELOCITY!] 「ひえぇ~、怪物~!」 と、情けない声を上げて逃亡する刃野刑事。あの人本当に刑事さんなんだろうか? 「ボサっとすんな聡里!ここは俺が相手をするから、お前は!」 「わかってますよ、翔太郎さん!」 短いやり取りの後僕は部屋を飛び出した。 「おや、今回は助手の方は戦わないのか。臆病風に吹かれて逃げ出したか?」 「いいや、違うね。アイツは今変身できねぇから逃がしただけだ。行くぜ、ドーパント! 「面白い、スペックを最大限発揮できない状態でいつまで持つかな?」 「言ってな。行くぜ、フィリップ!」 翔太郎さんは呼びかけ、フィリップさんは答える 『勿論さ、翔太郎。行くよ!』 「『変身!』」 [CYCLONE! JOKER!!] ガイアウィスパーと風が警察署の廊下を駆け抜け、翔太郎さんはWへ変身した。 「さぁて、ちょっとばかし厳しいがいけるな、フィリップ?」 「何を今更。翔太郎、頼むよ」 その頃、僕は拾得物管理室に舞い戻っていた。理由は簡単。 「さて、ホーク!マンタレイ!スパイダーに、スタッグ、バット!」 [HAWK][MANTAREY][SPIDER][STAG][BAT] ガジェットにギジメモリを挿入すると、ガジェットは一斉にライブモードへ切り替わった。 「いいかい、皆。ルナメモリとトリガーメモリを探すんだ!GO!」 僕のその掛け声と共に、室内の一斉捜索が始まった。 ~W SIDE~ 一方、ドーパントと戦闘しているダブルはかなりの苦戦を強いられていた。 「がっ、ぐあっ!」 「くっ、やはりサイクロンジョーカーでは追いつけないよ、翔太郎!」 べロシティドーパントの高速移動にWCJフォームでは攻撃をすることが出来ない。 攻撃を見切るのが精一杯で、それでも流しきれなかったダメージが刻一刻と蓄積していた。 「いい加減ダメージが溜まってきている……これでは翔太郎、君が持たないよ?」 「わーってる!聡里、早くしてくれよ……!」 そう翔太郎が考えたとき、油断しているベロシティドーパントの側面に攻撃が直撃した! 「がっ!!何だ!?」 そちらをドーパントが振り返ると、そこに立っていたのは仮面ライダーカブト。 カブトが能力を制限され、わずかな時間しか使用できないクロックアップを利用し カブトクナイガンでドーパントを射撃したのだった。 「悪いが、そいつを倒させるわけにはいかない。俺も相手をさせてもらおうか」 「この間のクロックアップライダーか!?なら、こっちもだ!」 そう言い、ベロシティドーパントはガイアウィスパーを鳴り響かせる。 [WORM!] 「貴様は長時間クロックアップできないんだったな!ならば、こちらが圧倒的に有利だ!」 そう叫びつつ、クロックアップの世界でカブトと戦闘し続けるドーパント。 さしものカブトも焦りを見せ、攻撃をかけるがドーパントは時間を稼ぐだけのつもりのようで、 ことごとく交わされる。 そして、クロックアップの限界時間が訪れた。 「ぐっ、限界か……ッ」 [EMERGENCY CLOCK OVER!!] その電子音と共にクロックアップが解除され、同時に変身も解除されてしまう。 「こちらの世界に来てから、ゼクターのメンテナンスも出来なかったからな。ガタが来たか……」 「フン、どうやら終わりのようだな」 ドーパントは勝利宣言とばかりにクロックアップを解除し、天道に話しかける。 「お前もどうやら、俺の処刑リストに載っているようだな。丁度良い。ここで処刑を……」 ドーパントがそう言いかけたとき、今度は背後から何かが激突し動きを止める。 「今度は何だ!」 ドーパントを妨害したのはホークフォンの体当たりだった。そして、そこに居たのは。 「とある傭兵が言ってましたよ?『獲物を前に舌なめずりは、三流のすることだ』って。 貴方は三流どころかとんだチンピラみたいですね、ドーパント!」 聡里が、怒りもあらわにそこに居た。 ~聡里SIDE~ 「貴方の正義とは、なんですか?」 僕は、ドーパントにそう問いかける。 「決まっている!罪を犯した人間を裁くことだ!」 「罪とは何ですか?」 僕は、重ねて問う。 「法に従わない事、他人の行為を妨害する事だ!」 「では、貴方はつまみぐいをした子供を裁くのですか? 廊下を走った子供を捕まえますか? そして、人を傷つけた自分を捕らえるのですか?」 僕は、最後に問う。 「そ、それは……」 「かつて、一人の女性のために戦っていた男が居ます。 その女性は人間ではなかった。しかし、その存在自体が人間に危害を及ぼす『罪』とされていたのです。 それでも、その女性はその女性でした。どこまでも優しかった」 「な、何が言いたい!?」 「罪とは、一人が勝手に押し付けるものではないんです。正義もまた然り。 しかし、貴方はその自分の勝手な『正義』で多くの人を傷つけてきました。 これも立派な罪と言えるでしょう」 「う、煩い!」 ドーパントがわめき、一歩僕から後ずさる。 「貴方の罪は判りましたか?」 そのドーパントに向け、僕は一歩足を踏み出し、語る。 「どうしても貴方が罪を数えないのなら、僕が数えさせてあげます!」 僕がそう叫びメモリーメモリを取り出したその時、不思議なことが起こった! 「どうした、カブトゼクター!?」 僕の元に、正確には僕の取り出したメモリーメモリの元にカブトゼクターが飛んで来て、 メモリーメモリになにか光のようなものを照射したのだ。 すると、メモリーから新たなガイアウィスパーが鳴り響いた。 [KABUTO!] 「カブトの記憶……記憶しました。行きますよ、ドーパント」 新たな力を得たメモリーメモリをロストドライバーにセット、右手でスロットを払うようにして開く。 「……変身」 [MEMORY!] そしてガイアウィスパーと閃光と共に僕はメモリーへと変身し、さらにあるシステムを起動する。 「メモリイジェクター!カブトメモリ、イジェクト!」 [KABUTO!] メモリーのベルトに追加された装置の一つ『メモリイジェクター』から一本のメモリが排出され、 僕はそれを空中で掴む。 「カブトメモリ。天道さん、力をお借りします」 僕はさらにベルトに追加された『チェンジスロット』にカブトのメモリをスロットする。 [KABUTO!] そのガイアウィスパーが鳴り響いた瞬間、メモリーの装甲の表面を六角形のエフェクトが包み込み、 ベルトこそロストドライバーだけれど、仮面ライダーカブトとなって僕はそこに居た。 「な……」 「メモリーが、カブトになった……?」 その光景に翔太郎とフィリップは絶句、 天道も驚いたような表情でメモリーカブト(以下Mカブト)を見ていた。 「な、なぜお前があの仮面ライダーに!?」 ドーパントもどうやら混乱しているらしい。 「僕は、仮面ライダ-の『記憶』を宿したメモリーメモリのライダー。 だから、このシステムも当然使える」 僕はそう語り、ベルトの『アビリティスロット』にカブトメモリを一旦スロットし、発動させる。 [KABUTO! ABILITY CLOCK UP!] そのガイアウィスパーと共に、僕の姿はドーパントの視界から消え去った。 「な、クロックアップ……!」 ドーパントが理解したときにはすでに手遅れ、僕はドーパントの背後に立っていた。 「遅いですよ」 「な!?」 僕はドーパントの背中に蹴りを叩き込み、その隙にWに二本のメモリを投げ渡した。 「ダブル、メモリを返します。マキシマムドライブを」 「あ、あぁ。判ったぜ」 『聡里くん……?』 そしてWはフォームチェンジし、W・LTフォームになった。 「行きますよ、メモリブレイク」 ダブルがマキシマムドライブを発動したことを確認し、 僕もマキシマムスロットにカブトメモリをスロットし、発動させる。 [TRIGGER! MAXIMUMDRIVE!!] [KABUTO! MAXIMUMDRIVE!!] 「ダブルはそのまま、トリガーフルバーストを打ち込んでください。着弾地点に放り込みます」 僕はそういい残し、再びクロックアップを発動し、ベロシティドーパントに肉薄する。 「ひっ!?や、やめてくれ!」 「……貴方の正義、記憶するまでもありません」 僕はその台詞と共に、足にエネルギーを貯める。 「さぁ。天国を、楽しめ」 [ONE TWO THREE] 「[RIDER-KICK]!」 「がぁぁぁぁっ!」 その一撃で吹き飛んだドーパントは、クロックアップが解除される。 そしてその着地地点は丁度ダブルがトリガーフルバーストの着弾地点にしていたところだった。 「ぎゃああああああああああああああっ!!」 男の断末魔の悲鳴と共に、メモリが排出され、粉々に砕ける。 普通の砕け方ではなく、粉末に分解される、むしろ消滅であった。 「一件落着、ですか……ふぅ」 ~翔太郎SIDE~ 「聡里……?」 何だったんだ、今のアイツの迫力は……? ビギンズナイトのおやっさんに匹敵する恐ろしさだったぞ……? 「……さて、翔太郎さん、天道さん」 俺が考えていると、聡里が声を掛けてきていた。 「なっ、なんだ聡里!?」 「なんでそんなに驚くんですか……まあいいです。 それより、帰りましょう。僕、お腹すいちゃいましたよ」 そう言い無邪気に笑うその顔からは、先ほどのような殺気は微塵も感じられなかった。 そして釈然としない気分のまま、俺たちは事務所へ戻った…… [事件記録 風都の滅殺仕置人事件] [今回から、件名をつける事にしてみました。] [犯人の動機は犯人自身が語っていたようなのですが、なぜか僕はそのへんの記憶があいまいなんですよね] [せっかく記録をはじめたのにな~……っと、これはいいでしょう] [今回、僕は新たな力、カブトの力を手に入れました] [メモリーに他のライダーへの変身能力まであったとは、驚きとしか] [他にはどのような能力があるんでしょうかね?] [謎は深まるばかりです] 「これから、も 新たな 能力 は 開放されて 行くでしょう……っと。 もうこんな時間か。ありがとう、マンタレイ」 そういって事件記録のデータをUSBメモリに保存して、 マンタレイを開放してやってから僕は眠りについた。 続く。 目次へ